目次
渋沢栄一版「驕慢なるべからず」
前回の続き、「奉公十則」の「自己の力を知れ、驕慢なるべからず」について、学びを深めましょう。
渋沢栄一は、自身の『論語講義』泰伯篇第8の「子曰く、もし周公の才の美あるも、驕りかつ吝ならしめば、その余は観るに足らざるのみ」について、次のように解説しています。
大学の章句に「忠信以てこれを得、驕泰以てこれを失う」とあり、忠信にして己の真心尽くし、欺かず偽らざれば天下をも得ることができるが、もしこれに反して驕慢にして、泰肆の態度に流るるということになれば、天下をも失わねばならぬこととなる。一家のことでもその通りで、一所懸命若い時から働いて一家を興しても、それに安心して驕るというようでは、たちまち元のごとく無一物とならねばならぬ。(渋沢栄一・著『論語講義』3巻)182頁
渋沢はここで四書五経の1つ、『大学』を引き、真心を尽くして真正直にしていれば天下を取ることもできる一方で、驕り高ぶれば、信用どころか天下をも失わねばならぬと述べます。出世の意欲なんてないから関係ないよ、というわけでもなく、無一文から一家を築き上げても、気が緩んで驕ることがあれば、元の木阿弥となる―普通の人であっても大いに戒めるべきであると明らかにしています。
その事例として豊臣秀吉と徳川家康を取り上げ、両者の運命を分けた要素は、この「驕慢」であると指摘。秀吉は「驕れる者も久しからず 露と落ち 露と消えにし我が身かな 浪速のことも 夢のまた夢」という有名な辞世の句を詠んでいます。「平家が源氏に敗れたのは驕ったから。だから自分は驕り高ぶることがないようにしてきた」と。しかしふたを開けてみれば、無自覚のままに驕り高ぶっていたこと、歴史が証左となりましょう。
命運を分け得る、「学問教養」
学問教養がなかった秀吉には、それをズバリ諫言してくれる人もいませんでした。『貞観政要』に説かれる、リーダーが備えるべき3つの鏡の1つ、「人の鏡」とは、そのような人を指しています。仮にそのような人がいたところで、秀吉が聞く耳を持ったかと言いますと、持つことはなかったでしょうが…「驕慢」が原因の1つであることは間違いありませんが、根本的には「学問教養がなかったこと」これが、両者の命運を分けた要素であると小生は人にお話しています。
強調される、「驕慢」の戒め 驕りは身を滅ぼす元
少々論旨から外れましたが、渋沢はその他、物徂徠の驕慢を戒める言葉や、三国志の中でも特に名を馳せる諸葛亮の、「将は驕るべからず」から始まる心書も引き、「驕慢」を強力に戒めています。帝王学の教科書『貞観政要』の「居安思危」は、そこへの対応策の1つとなりましょう。始まりを善くする者あれども、終わりをよく慎む者はいない―古語に散見される言葉ですが、これはまさに古今変わらぬ真理と言えます。
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